外貨預金や債券に投資よりもFXの方がお得に運用できる理由

今回は女性に人気の金融商品である外貨預金と債券についてのお話です。

「外貨」と聞くだけで、なんだかカッコ良いイメージがしますよね。あるアンケート調査の結果では、一般的に投資商品の3割程度が女性になるにもかかわらず、外貨預金を行う女性は約半数。そして、20-30代の若い女性に人気があるようです。

しかし、実は外貨預金は意外と手数料が高かったり、もっと有利な金融商品があるのです。また、銀行の待合室でよく見られる高い利回りの外国債券にも実はリスクが潜んでいます。

筆者の経験から、外貨や海外への投資をよりスマートに運用するための具体的な方法を説明していきたいと思います。

女性に人気の外貨預金のホントのところ

外貨預金が円金よりも有利な点はなんでしょうか。

恐らく、1.金利の高さと、2.為替差益 で利益を得られることでしょう。

金利をみてみると日本の0.1%以下の預金金利とアメリカ2.0%の金利は魅力的でしょう。新興国であるメキシコになると7.75%という高さになります。

大きな支出の予定がない人であれば、外貨預金の方がメリットがあることは当然ですよね。

参考:大手銀行の3万米ドル相当額未満の金利

商品名 年利回り(税引き前複利計算) 残存期間
トルコ・リラ建 ゼロクーポン債 17.13% 5年7ヵ月
ブラジル・レアル建 利付国債 8.11% 9年5ヵ月
ロシア・ルーブル建 利付国債 7.25% 13年1ヶ月

また、外貨の価格上昇で為替差益を得ることもできます。2012年に80円だった米ドル円は2015年には120円まで上昇しました。この間に100万円を米ドルで保有していれば、為替差益で50万円もの利益を得ることができます。

こうみると、外貨預金は非常に魅力的な投資商品に思えます。

 

では、実際に購入する時に必要となる取引コストを大手銀行の例を参考に見てみましょう。

これはある日の大手銀行の外貨預金の取引レートになります。

◇ある日の為替レート

通貨名 円貨→外貨 外貨→円貨
米ドル 111.14円 110.64円
ユーロ 129.08円 128.58円
豪ドル 82.87円 81.87円
英ポンド 143.92円 142.92円
NZドル 75.39円 74.39円
スイスフラン 112.04円 111.04円

例えば、米ドルを購入する場合は、111.14円での購入。売却する場合は、110.64円での売却となります。価格差(スプレッド)が50銭ほどあり、これが銀行へ支払う差額となります。

米ドル円を購入して売却すると、往復で1円の価格差を銀行へ支払う必要があります。

これ以外にも手数料が存在します。

◇外貨の購入手数料

通貨名 ネットバンキング 窓口
米ドル 25銭 1円
ユーロ 25銭 1円50銭
豪ドル 50銭 2円
英ポンド 50銭 4円
NZドル 50銭 2円
スイスフラン 50銭 90銭

基本的にネットバンキングで取引を行った方が安く済ませることができます。

売り買いの際に発生しますので、米ドル円の場合は、往復で50銭(25銭+25銭)の手数料が必要となります。

つまり、米ドル円を購入して売却までに掛かる取引コストは、為替レートの価格差と手数料を合わせると最低でも1円50銭の取引コストが発生するのです。

言い方を変えると、1円50銭の価格上昇があって初めて、為替差益がプラスになるのです。

ただ、金利が発生しますので、上の金利表で1年間保有したとすると、※1円39銭分の金利(13,900円)をもらえることになります。※米ドル円100円の場合

そうなると、1年間米ドル預金をしていた場合には、少し価格が上昇すれば利益になる、ということが分かるかと思います。

逆をいえば、価格が全く変わらなかった場合は少し損をしてしまうことになるのです。

つまり、日本円で保有している方が僅かながらプラスになります。

これが知って驚きの外貨預金のホントのところです。

もし、外貨の価格が下落してしまったら、とても悲しい結果となってしまいますよね。

利回り10%の外国債券の落とし穴

続いて人気の高い外国債券を見てみましょう。

外国債券は非常に利回りの高いものが存在します。

ある証券会社の商品ラインナップを見てみると、以下のような高い利回りの商品が並んでいました。

商品名

年利回り(税引き前複利計算)

残存期間

トルコ・リラ建 ゼロクーポン債

17.13%

5年7ヵ月

ブラジル・レアル建 利付国債

8.11%

9年5ヵ月

ロシア・ルーブル建 利付国債

7.25%

13年1ヶ月

※利付国債:年2回、半年ごとに利子を受け取ることができる国債

※ゼロクーポン債:クーポン(利金)が無いかわりに額面金額よりも低い単価で発行される債券

 

観光国として知名度のあるトルコリラの国債利回りは17.13%と驚異の利回りとなっています。これだけ利回りが高いとなると、保有するメリットしかないのではないでしょうか。

ここで、取引にかかるコストを見てみましょう。

国債の取引コストは、日本円から現地通貨で購入となりますので、その際の購入と売却時の価格差となります。おおよそ利回りが高い国債の場合、購入・売却スプレッドが往復で5%ほど掛かります。

例えば、トルコリラのゼロクーポン債では、買い付け時に90銭(40万トルコリラ未満≒800万円)、利払・償還時に適用されるスプレッドは50銭となっています。

8月7日のトルコリラは21円ですので、90銭と50銭のスプレッドは6.66%となります。

計算式:{スプレッド(90銭+50銭)÷21円}×100=6.66%

つまり、実際には利回りが11%以下になってしまうというのです。

それでも、11%の利回りはとても魅力的です。

 

では、リスクである価格変動について見ていきましょう。

新興国などの国債は、景気が不安定だったり政情不安などのリスクがある為に利回りが高くなっているのです。

トルコリラの価格推移を見ていきましょう。

◇トルコリラ円 月足チャート
出典:みんかぶFX

トルコリラは2008年のリーマンショックを境に下落に転じ、約5分の1となって2018年8月時に急落。その後は政情不安が好転し、記事執筆時点では安定推移しています。

例に挙げたトルコリラ国債の残存期間は5年7ヵ月。仮に2013年1月の50円の時にこのトルコリラ国債を購入したとすると、価格の下落率は約60%。取引コストであるスプレッドを除いた11%の年利回りでは、カバーしきれない下落率だということが分かります。

途中売却の際には、通常より高いスプレッドを支払わなければならないために、価格が下落し続けると、かなり厳しい状況となってしまいます。

 

極端な例ですが、これが高い利回りのを誇る外国債券の落とし穴です。

外貨預金も外国債券への投資もFXで全て解決

では、外貨や海外債券への投資は諦めた方が良いのでしょうか。

いいえ、日本にはFXという身近な外国為替の金融商品があります。

FXはレバレッジを効かせられるために、1万米ドルの保有に必要な資金は45,000円程度です。外貨預金では110万円ほどのお金が必要となりますので、資金効率が大きく異なります。

レバレッジと聞くと、怖いイメージがあるかもしれません。しかし、外貨預金で1万米ドルを保有しても、FXで同じ量の米ドルを保有しても、価格変動における損益は変わらないのです。

 

また、外貨預金よりも取引コスト・スプレッドが安く、価格下落時にも対応することができます。

銀行の外貨預金とFX会社(ひまわり証券レギュラー口座)の取引コストを比較してみましょう。

通貨名/スプレッド

銀行

FX会社

米ドル

50銭

1銭

ユーロ

50銭

3銭

豪ドル

1円

4銭

英ポンド

1円

5銭

NZドル

1円

7銭

スイスフラン

1円

6銭

 

銀行と比較すると、FX会社のスプレッドは米ドルで50分の1、英ポンドでは20分の1となっていることが分かります。

さらに、FX会社の取引手数料は無料なのです。

上に挙げた米ドル円の外貨預金では1円50銭の取引コストが掛かっていましたが、FXではたった2銭(売り買いの往復スプレッド)しか掛からないのです。

 

また、金利面も見てみましょう。

FXではスワップポイントという通貨の金利差が営業日ごとに発生します。

米ドル円の場合、記事執筆時点で1万米ドルの保有で1日あたり発生するスワップポイントは55円。米ドル円を1年間保有したとすると、これが365日分、20,075円のスワップポイントが発生します。

1万米ドル保有した場合で外貨預金と比較してみましょう。

 

スプレッド

手数料

必要な資金

金利、スワップポイント

銀行

往復1円

往復50銭

110万円

15,429円

FX

往復2銭

無料

45,000円

20,075円

※米ドル円110円で計算
※金利、スワップポイントが共に変動していない場合

このように、全てにおいてFXが有利であることが分かります。

もし、2つの口座で1年間1万米ドルを保有して、米ドル円の価格変動がなかった際の損益は以下となります。

参考:1万米ドルの価格変動は1銭あたり100円、1円の場合は1万円

 

銀行:15,429円(金利)―1万円(スプレッド)―5千円(手数料)=429円

FX:20,075円(スワップポイント)―200円(スプレッド)―0円(手数料)=19,875円

 

よって、FXの方が1年間で19,446円もお得だということが分かりました。

同じ外貨への投資でも、これだけ変わってくるのです。

 

また、外貨預金や外国債券への投資と違い、FXはスマホ1台あればいつでも簡単に売買できるというメリットがあります。

価格下落時に直ぐに売却ができるという点でもFXの方が優れていますね。

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FXを使った賢い外貨運用法

FXでの投資運用が有利だと分かったところで、具体的な運用方法を見ていきましょう。

外貨預金を行う人は、投資初心者がほとんどであり、1年以上の長期的な運用を目指していると思います。

以前、筆者が執筆しました初心者向けの記事「1から始めるFX -実践編- 初心者にオススメの中・長期投資とポイント」を是非読んでいただければと思います。

 

さて、詳しくは上の記事に書いていますが、基本的には政策金利が安定していて景気が良く、政治が安定している国の通貨が長期投資に向いています。

2012年末以降の価格上昇と金利の上昇。米国の好景気と他の通貨との金利差を考えると、現在中長期で投資を行うのに適した通貨は米ドルだと考えています。

 

では、いつ、どのように購入してゆけば良いのでしょうか。

ここで細かな売買テクニックを語ると、全くスペースが足りませんので、初心者向けにおすすめの投資方法を2つ(1.ドルコスト平均法、2.ループイフダン)を提案します。

1.ドルコスト平均法

定額購入法とも呼ばれる投資方法で、一定期間おきに同額の資金を使って購入してゆく売買手法です。

毎月4万円を使ってドル円を買っていくとすると、1ドル100円の時に購入できる米ドルは1万米ドル。しかし、1ドルが80円に下落すると同じ資金で1.25米ドルの購入が可能になります。同じ資金でも価格下落により多くの米ドルを保有できることで、平均保有コストを下げることができるのです。

ドルコスト平均法のイメージ↓

出所:fudousan-kyokasho.com

FXの最小購入単位は1000通貨の会社がほとんどですので、現実的に4万円きれいに購入していくことは難しいですが、2013年以降この売買手法で米ドルを購入していくと、損益を大きくプラスにすることができています。

 

1つ重要なこととして、必ず損切注文を設定しておくことです。

例えば、米ドル円の平均保有価格が100円だとします。現在価格が103円まで上昇していたとすると、101円くらいに損切注文をおきましょう。

人は一度出た利益がなくなってしまうと、心理的負担が2倍になってしまうそうです。

ですので、プラスになったら建値以上に必ず損切注文を置くようにしましょう。

もし、米国の状況が大きく悪化した場合は、損失が出ている場合でも仕切り直したり、ポジションを縮小するなどの対応をするようにしましょう。

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初心者におすすめのFX会社

2.リピート系注文

リピート系注文とは、シンプルな売買ルールで自動発注されるFX取引のサービスです。注文の仕組みや利益を出すロジックが分かりやすく、FX会社の3割程度が取り扱っているために利用者も増えています。

筆者が調査したところでは主要通貨のスプレッドが狭いFXブロードネットが提供するトラッキングトレードが良いと思います。

トラッキングトレード

トラッキングトレードとは、FX取引の基本である「安く買って高く売る」、「高く売って安く売る」を自動で繰り返す注文方法です。

裁量トレードより細かく利食いと決済を繰り返せるので、機会損失を逃しません。

また、設定した想定変動幅を上下どちらかに突き抜けても「価格を自動的に追尾」し売買価格帯を変更してくれます。損切りも自動で行ってくれます。

◇FXとトラッキングトレードの違い

FXの価格は8割が同じ価格帯で推移するレンジ相場と言われており、この間の値動きを自動で利益にできるのがループ・イフダンの良いところです。

投資初心者でも、1)通貨を選ぶ。2)売りか買いを決める。3)売買の値幅を決める。この3つのステップで簡単に始めることができます。

また過去の実績から、どの売買システムが利益をあげているのか公表されているので、初心者でも安心して選ぶことができます。

実際のチャートと照らし合わせてみると、レンジ相場や緩やかな上昇・下落相場であれば、トラッキングトレードの方が大きく収益を上げることができることが分かります。

参考:ユーロ円(2018年1月11日~2018年2月3日)

もちろん、損失となる場合もありますが、FXブロードネットの自社コンテンツで4人のトレーダーが「ガチンコバトル」を行っています。

そのなかでは4人中3人がプラスのパフォーマンスとなっており、一人は1年半の期間で85%のパフォーマンスとなっています。

投資初心者の場合は、リピート系の売買からFXを始めてみるのも良いと思います。

FXブロードネット

まとめ

実は筆者が初めて投資を始めた時にも外貨預金を検討しました。自分のお金が毎日動くということに少し興奮しましたが、少し考えると非常に効率が悪い金融商品だったと分かりました。

FXは短期的な売買をするデイトレーダーにも、コツコツと外貨預金や債券で長期投資をする人の両方に適した金融商品だと思います。

上に比較表を出したように、外貨への投資はFXをおいて右に出るものはないでしょう。

スワップポイントは魅力的ですが、南アフリカランドやメキシコペソなどの新興国通貨は初心者には難しいので、売買をすることはおすすめできません。

また、レバレッジを効かせられることから、無茶な投資をすることだけは気を付けるようにしてくださいね。

2009年にFXを始めた自分よりも安定したパフォーマンスを得られることとなりましたら幸いです。

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FX歴2009年~、株歴2015年~。その他、CFD、商品、オプション、仮想通貨まで幅広く取引しています。金融メディア勤務で数多くの個人投資家ネットワークに参加。機関投資家から億トレまで、多くの投資家から得た知識を展開していきます。