投資初心者が知っておきたい株式投資、FX、仮想通貨の金融商品の違い

投資をはじめよう!
そう思って投資の本を買ってくると、実に多くの金融商品があることが分かります。

代表的な株式に始まり、投資信託、国債、FXに金などのコモディティーから最近話題の仮想通貨まで。どれが自分に合った金融商品なのか選ぶのは大変です。

そこで個人投資家に人気のある投資先である「株式」、「FX」、「仮想通貨」を比較。投資初心者に向けて違いを見てもらいたいと思います。

1.各金融商品の概要、比較

カテゴリ

FX

株式

仮想通貨

投資対象

通貨

企業

仮想通貨

投資対象の数

50通貨

4,000社以上

1000通貨以上

主な変動要因

金融政策(マクロ経済)

企業業績(ミクロ経済)

新規投資家の参入

値動き(日)

5%

30%

100%以上も

金利受取時期

毎日

年2回

無し

レバレッジ

25倍

約3.3倍(信用取引)

25倍

取引時間

平日24時間

9時~15時(昼休み除く)

24時間365日

◇金融商品ごとの主な違い

・株式

株式は企業が発行する株式の売買ですから、企業に投資するということになります。
企業業績はもちろん、新規サービスの発表や業務提携、M&Aなどが今後企業の成長を期待させられる材料が株価に影響します。また、株式分割や配当、株式分割などのイベントもあります。
時価総額の小さな銘柄になると、ファンドが大量保有したり著名投資家がSNSで呟くことによって株価が上昇するということもあります。

重要イベントとしては、年に4回の企業決算となります。ここでは決算発表だけでなく、新規サービスや株式分割、業務提携など株価変動に重要な影響を与える内容が同時に発表されることがあります。その為、翌日の株価は暴騰・暴落となることがあります。

株式投資に必要な資金は投資する銘柄によって様々ですが、100万円ほどの資金があれば上場銘柄の8割ほどに投資することができます。

個々の銘柄の特徴を捉え、企業研究を行うことが株式投資で成功するためのコツといえそうです。

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・FX

FXは米ドル/円の通貨ペアの売買を行います。
各国の景気や政治状況、地震や戦争などの地政学的リスクなどいわゆる「マクロ経済」と呼ばれるモノが為替の変動要因となります。
国の景気が良ければ買われやすくなり、天災等が発生すれば売られやすくなります。

投資先の地域としては主に、「北米」、「ヨーロッパ」、「アジア」、「アセアニア」の4つに分かれています。
隣国の状況も重要で、例えば北朝鮮でミサイルが発射されたりすると、日本円だけでなく、中国人民元やなどのアジア通貨が売られやすくなります。また、新興国通貨と呼ばれるNZドルやトルコリラまで売られることがあります。

基軸通貨として米ドルが中心になっており、FXは米ドルを中心に取引されています。その為、アメリカの景気が悪いと、世界経済全体が悪くなるのではないかという連想が働き、隣国のカナダやメキシコなど近隣諸国の通貨を中心に多くの通貨が売られやすくなります。

重要イベントとしては、月に1度ほどのペースで発表される経済指標です。
雇用者数や小売売上高、物価など、その国の経済の重要な指標の良しあしで、発表の瞬間に相場が大きく動きます。また、金融政策も重要です。利上げを行うと、金利が上がる為に通貨は買われやすくなりますし、政策を決める中央銀行のメンバーが景気に対して弱い見方をすると売られやすくなります。

FXに必要な投資資金としては、1万円程度からほぼ全ての通貨ペアの売買が行えますので、初心者にも手掛けやすい投資といえそうです。

・仮想通貨

最後は2017年から急速に人気が高まってきたビットコインなどの仮想通貨について見ていきましょう。

株式、FXとは全く違う要因で動きます。主な価格上昇要因は『新規参加者数』が挙げられます。株式、FX投資は既に世界的に行われているために、投資人口は大きく変わりません。
しかし、仮想通貨への投資を行っていない人が多いことから、基本的に新規の参加者が一気に入ってくると価格が急激に上昇する傾向になります。
絶えず新規参加者が増加しており、投資資金が流入しているために、どうしても価格は上昇しやすくなります。その為、仮想通貨市場の売り買いの割合は『買い7割:売り3割』と言われています。

また、ビットコイン先物やETFなどビットコインへの投資を便利にする金融商品の開発も価格上昇に繋がり易くなります。

下落の材料としては、取引所のハッキングや各国の規制があります。ビットコインはPCなど電子端末に入れて持ち運べるために、中国は資本の国外流出を恐れて規制に乗り出しました。日本はマウントゴックスの事件があったために、いち早く法整備がされましたが、世界的にはまだまだ進んでいません。
その為、本人確認や取引所のセキュリティ対策の整備などの前向きな規制であっても、心理的に悪印象が働き一時的に売られる易くなります。

また、ICOと呼ばれる仮想通貨を利用した資金調達方法もあります。IPOと違って、ほぼ全ての人に投資できます。しかし、投資したものの資金が拘束されたまま半年~1年間も引き出すことができなかったり、詐欺も乱立しているために非常に注意が必要です。

また、取引所のリスクが高いという仮想通貨独自の問題があります。注文をしてもなかなか約定されなかったり、サーバーが頻繁に落ちる、送金した通貨が届かない、カスタマーサポートに問い合わせても数日間返答が得られないといったことが日所茶飯時です。

これは、取引所の運営を既存の証券・FX会社以外の会社が行っており、投資家保護の意識が低いことが主な要因だと思われます。現在は、日本国内でも取引所は続々と増えており、取引環境も整備されています。

未成熟でリスクの高い市場ですが、当たれば非常に大きなリターンの可能性を秘めているのが仮想通貨への投資といえます。

◇取引時間の違い

投資を行ううえで、金融商品ごとに取引時間が異なり、時間帯によって値動きの特徴もあります。

・株式

日本の株式取引は、基本的には午前9時から15時までとなっております。
そして、午後11時30分~12時30分まで1時間のお昼休みがあります。

基本的に、寄り付き直前は一斉に注文が入り取引が盛り上がります。その為、午前9時から10時あたりにかけては株式取引でもっともホットな時間といえます。

・FX

FXはインターバンクと呼ばれる世界中の銀行間で取引されているので、銀行の営業時間中が取引時間となります。
日本時間の月曜日午前7時~土曜日午前6時くらいまでが取引時間となります。
※夏時間と冬時間により異なります。

FXは以下の市場時間に分けられることができます。

オセアニア市場:5時~12時
東京市場:8時~15時
ヨーロッパ市場:15時~翌日2時
ニューヨーク市場:21時~翌日5時

最も値動きが活発な時間帯としては、ヨーロッパ市場とニューヨーク市場が重なる22時~2時付近と言われています。
この時間帯には、アメリカの経済指標が発表されたり、商品取引やNY株式取引も行われます。ヨーロッパ市場から引き継いだ流れが大きく変わることもあり、非常にダイナミックな値動きとなります。

投資を始めると日常生活の一部となりますので、投資に振り回されるのは好ましくありません。それぞれの生活リズムに合った投資が行えるように、各金融商品の取引時間で投資商品を選ぶこともアリでしょう。

FXは日本人サラリーマンの仕事を終えた時間に値動きが出てくることも、人気がある理由かもしれません。

・仮想通貨

仮想通貨はなんと24時間365日休みなく取引が行われています。
値動きとしても平日や休日、午前、午後ほぼ関係なく何かニュースが出て動くときは動き、動かないときは動きません。

僅かながら、株式取引の開始、終了時間に影響されるようなところもありますが、特徴のない値動きが365日休みなく行われ投資家を振り回すのが仮想通貨です。

余談ですが、筆者は24時間取引のできるFXを好んでいますが、同じ365日動く仮想通貨取引では、休みがありません。トレード好きの筆者も「値動きが止まってほしい」と仮想通貨に対して思ったことがあります。

◇値動きの違い

最後に金融商品ごとに異なる値動きについて記載しておきます。

・株式

株式市場にはストップ高、ストップ安という制度が存在します。
その為、どれだけ動いても上下に約30%程度と制限されます。
もっともこれだけ動くのは新興銘柄を中心に、ゲームやバイオ関連銘柄で東証一部の大型銘柄などは1日5%程度の変動率で動いても10%程度です。

振興銘柄は取引高が数千万円から数億円と小規模な銘柄が多く、値動きも荒くなりがちです。その為、買いたい値段で買えなかったり、何か悪材料が出ればストップ安に張り付いて売ることができなくなるという事態も発生します。

・FX

FXは1日1~2%ほどの変動率と、多くの金融商品の中でも穏やかな値動きです。
その為、日本ではレバレッジを25倍まで利用することができます。
各通貨によって値動きも異なります。米ドル円であれば、100円や105円などの節目で止まりやすく、秩序だった値動き。一方、ポンド円は「殺人通貨」とも呼ばれており、1日の変動率も大きく乱高下を繰り返すことが多くあります。

米ドル円を東証一部銘柄だとすれば、ポンド円は新興銘柄といったところですね。

また、為替は国の景気や金融政策に左右されるのですが、それらが毎度大きく変わることはありません。その為、一度発生したトレンドはしばらく続きやすい傾向にあります。

・仮想通貨

金融商品で一番激しい値動きをするのが仮想通貨です。

仮想通貨のなかでも値動きが安定しているビットコインでさえ1日5%程度動き、暴騰・暴落となると10%以上も動きます。100万円などの節目を意識した値動きとなることもありますが、誰も予想しなかったような暴騰・暴落が起こり続けていますので、初心者の人は特に難しい値動きになるかと思われます。
また、急激に価格上昇が起きた後はお約束のように暴落します。

そして、アルトコインと呼ばれるイーサリアムやリップルは1日30~50%ほど動くことがありますし、草コインと呼ばれる時価総額が100億円以下の仮想通貨に至っては1日で2倍~10倍になった例もあります。

このような仮想通貨には取引高が少なく、上昇していくなかで売りがほとんどなく上昇していくため、「全く買えないまま上がっていった」ということも多々あります。大きく上昇しても、利益を得ている人は僅かしかいないこともあるというのが仮想通貨ではあり得るのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
各、金融商品によって全く違う投資スタイル、リスクとリターンが見えてくるかと思います。
もちろん、どんな金融商品でも全力で資金を突っ込めば大金を得ることもできれば大損の可能性があります。
税金面を見てみると、株式とFXが約20%に対して、仮想通貨は雑所得の為に最大55%の課税対象となるデメリットもあります。

また、投資経験があるかどうかで、それぞれの金融商品への意識が変わってくるかと思います。

筆者は2009年からFXを始めていますが、日本人サラリーマンに一番合っている投資がFXだと感じています。
その理由としては、以下の5つでしょうか。

  1.  少額から始められること
  2. 夕方から夜が一番取引機会があること
  3. 自動売買サービスが豊富
  4. キャンペーンでのキャッシュバックやプレゼントが多い
  5. 値動きが穏やか

FXを経験して株式取引の新興銘柄の値動きを見ると、値動きの速さに戸惑い、インサイダーのような一部の人が得をするような怪しい情報も多く、仮想通貨では取引所が動かなくなるというトラブルにストレスが溜まりました。
その分、FXは金融商品の中で最大の取引高の為、価格のコントロールは不可能で投資家にとっては平和な世界です。

もしあなたが投資を行ったことがなく、初めて投資に挑戦しようとしているのであれば、FXから始めてみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

FX歴2009年~、株歴2015年~。その他、CFD、商品、オプション、仮想通貨まで幅広く取引しています。金融メディア勤務で数多くの個人投資家ネットワークに参加。機関投資家から億トレまで、多くの投資家から得た知識を展開していきます。