まだはっきりとしませんが、2016年末までの経済統計を眺めていると欧州圏の経済指標がやや改善されてきているのがわかりました。
ここ最近、ドイツだけでなく、北欧などを含めて良好な経済指標が発表されております。これが平均化していることにより、数値が改善傾向にあるのではないでしょうか。
今日はそれをご紹介したいと思います。
■失業率は非常に緩慢に低下傾向
■出所資料:TRADERS WEB FX 経済指標
リーマン・ショック後、経済が全く立ち直らないうちにギリシャ問題が勃発。
欧州圏の失業率は一時12%を超えておりました。
スペインやギリシャなどは失業率が20%、25%と言われるまでひどい経済状況でした。
あれから5年が経過し、徐々にその傾向が軟化してきたことがこのグラフからわかります。
ようやくですが、失業率が10%を割り込んできました。
現在(欧州圏全体の統計が1月遅れて発表なので注意。)、2016年10月の時点で欧州の失業率は9.8%と10%を割り込んできております。
2013年を堺に、本当に緩やかですが、徐々に下落傾向があります。
最悪期は脱したのでしょうか?
イタリアの銀行問題で揺れておりました2016年ですが、沈下ムードです。
ドイツ銀行のCDSも160台まで落ちてきており、イタリアの銀行、ウニクレジットでさえも160程度まで低下してきました。
一時、これらの銀行はCDSが220〜260で取引されておりましたのでものすごい回復です。
(CDSとは:クレジットデフォルトスワップと読みます。 企業倒産リスクが増大した場合に価格が上昇する保険のような金融商品です。)
ドイツ銀行の株価も18ユーロまで値を戻してきておりまして、一時は10ユーロを割り込む展開でしたが、米国大統領選後あたりから金融株が買われる波に乗って同じく上昇してきました。
リスクオフ相場は当面遠のいた可能性があります。
この失業率の低下傾向がゆっくりですがこのペースで減少しますと今年の末には9.0%を割り込んでくるかもしれません。
個人的には、今年の経済には楽観視しており、米国経済がインフレ経済に。中国経済は危なくも人民元安により、資本流出をカバーしきり、新興国とともにリフレ経済に突入するとみております。
そうなれば、中国経済もさらに延命ができることから世界全体的にインフレ経済に向かっていくと思慮しております。
世界のマネーが循環を始めますので、欧州圏もその圧力に多少身を任すことになるでしょう。
そうなれば、ユーロ安もそろそろ止まるのかな?っと考えております。
消費者物価指数も上昇傾向
■出所資料:TRADERS WEB FX 経済指標
ドイツの2016年12月の消費者物価指数は1.7%と非常に高い数字を出しました。
日本も2%を目指しておりますが、羨ましい数字です。
当局からは原油高(回復によるもの)が主な要因だと控えめに発言が出ておりましたが、2014年前半の原油価格と比較しますと現在のほうがまだ4割ぐらい安いです。
それなのにも関わらず、2014年当時を上回る水準ですから、やはり物価は上昇傾向にあるのではないでしょうか。
その証拠に、欧州からの指標は上記のとおりです。欧州圏内の消費者物価指数も1.1%と大きく上昇傾向です。
明らかに原油価格を考慮しても世界の波がこんなところにも影響を及ぼしているように感じます。
そして製造業の物価指数が下記です。
■出所資料:TRADERS WEB FX 経済指標
こちらはPMI指数です。
企業の景況感を表す指数です。50を下回ると景気認識は悪いと言われております。54.4と高い数字になってきました。
おそらくユーロ安の恩恵が出てきたものと思われます。
ECBもQEの時期を2017年末まで引き伸ばしました。国債などの債券買い入れ枠こそ減らしましたが(800億ユーロ→600億ユーロに2017年4月から減額実施予定。)、時期が延長されましたので、まだ市場にキャッシュが流れ出ていくようになります。
もうしばらくユーロドルが1.10以下で推移する期間が続けば、おそらくこの景気回復ペースは維持するかそれ以上のペースになっていくように思えます。
では、ユーロをすぐ買うか?っというわけではありませんが、徐々に買い入れ枠の数字を減らしたり、期間をもう延長することがないかもしれません。ドラギ総裁の発言に注目です。
2017年後半〜年末あたりから欧州経済がリセッションを脱する動きが出るか、そこに注目ではないかと考えております。
もしかしたら、ドイツ銀行の株を購入しておくと良いかもしれませんね(笑)