兵トレーダーの売買戦略(2017年3月)

NYダウが21000ドルを手前に、トランプ氏が力を入れている減税が後ずれするとの観測が高まりNYダウが急落。

これが発端で世界的株安となり、ドル円は年初来安値をあっさりと割り込んできました。

これは押し目なのかそれとも大暴落の始まりなのか。。

いつも筆者が頼りにしている元ゴールドマンサックスの志摩さんと、シティバンクのYEN蔵さんの売買戦略を見ていきましょう。

まずは志摩さん
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配信日:2017/03/22 15:20(内容をまとめて掲載)

これまで堅調だった米ダウが大きく下落し、相場の雰囲気が変わってきました。オバマケアを廃案にし、「トランプケア」が木曜日に議会を通過するかどうか、不安に感じた市場が反応したというのが、一般の市場解説に。

オバマケアの代案が通り、その後予算が成立し、それから経済対策です。このオバマケアの代案が上手く行かないことには一歩も進みません。オバマケア廃案には共和党全員賛成できますが、代替案何か?ここでの合意は相当難しく、ここを上手く出来ればトランプ氏への市場の信認は高まります。

おそらく、上手く行かないでしょう。そして、経済政策も、大規模減税には国境税が不可欠ですし、国境税導入は大変な動乱をもたらします。何もないところからお金が降って湧いたみたいなトランプラリーでしたが、転換点を迎えているのかもしれません。

市場全体ドル売りです。ドル円は115円前後を攻めていたときは、オプションのストライクがあまりにも多く、上値を突破することができませんでしたが、下サイド賭ける人はほとんどいないので、スカスカですので下がりやすくなっています。

ドル円は、低いところでショートをつくりましたが、ここは112.50円程度をストップの目安にキープしたいと思います。ユーロドルはリスクを半減してロング維持。フォーカスは日本円にあるでしょう。
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111.60円付近から戻りを待たずにショートにしています。

志摩さんは大きなトレンドが出た際にしっかり取ることが得意ですので、これはかなりの下落が期待できそうです。

特に日々配信されているオプション状況から、ここから下はオプションがなく下落が早いという情報を出してくれたおかげで、安値でも叩いてくことができます。

そして、下落の発端となったオバマケアがどうなるのか、その進捗状況なども細かく配信してくれています。

続いてYEN蔵さんです。
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配信日:2017/03/22 17:01
トランプ政策の実効性への不安から米国株が下落。
トランプラリーは、減税とインフラ投資が株価にプラスという期待感からの上昇でした。それが、共和党主導の議会でオバマケアに変わる共和党のヘルスケア法案が議会を通過しないとなるとこの先の減税を決めることはかなり先になるのではないかとの失望感からの売り。

米10年債利回りは2.41%付近まで下落し、ドル売りの流れですが株価の下落でリスクオフの円高のほうが勝りユーロドル、ポンドドルもここから上が重くなっています。

111.50から下は本邦からの買いもありサポートされていますが、上値も重くなっています。
日経平均も19000円はサポートして引けましたが、先物は小幅安です。
111.70~80を待って売ろうと思っていますが、そこまで戻らない感じですね。
ストップは112.50として、少し上昇したら売ろうと思います。
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YEN蔵さんは111円台半ばから売ったようです。

メルマガでは配信されていないですが、23時30分頃に「一旦、底打ち」とLINEで発言しており、実際そこが当日の安値となりその後112円半ばまで戻ることとなりました。
相場の転換期を感じ取る力は、さすがインターバンクで20年も相場と向き合っていたからこそです。

さて、志摩さんのメルマガをもう一本、内容をまとめて出しましょう。
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配信日:2017/03/23 20:02
オバマケアの廃案は全員賛成でも、共和党全体が支持できる代替案の作成は難しく、保険なんてなくて良いと思っている保守派から、実際に無保険者続出となると2018年選挙当選が厳しくなる議員までいて、意見がまとまりません。

現状、保守派25名ぐらいが依然として反対との報道を聞いてます。下院を通過するには反対者を20名以下に抑えないと難しいようです。

下院を通過した場合、一旦はリリーフラリーでドル円等は戻る可能性があり、恐らく112円台まで戻るでしょう。その一方、もし否決された場合、ドル円は110円テストとなります。

下院はなんとか通過して、リリーフラリーになると思われますが、そこはやはりドル円売りになると思われます。

トランプ政権はあらゆる準備が進んでおらず、しかも陣営内の対立が深刻化しており、肝心の経済対策がどうなるのか、中国に対してどの様に対応するのか、全く流動的です。

よって、トランプラリーの巻き戻しは必定のように感じられます。
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これによると、トランプ経済政策の遅れから下落トレンドが発生しており、採決はどうあれ下がるしかないようです。

たしかに、NYダウも約3000ドルほど上昇して、やっと1%程度の調整が入りました。
調整が1%で終わった相場は過去にないでしょう。

経済が好調であっても、調整相場入りにはなるものです。仮に10%の調整でも2000ドルの下落ですから、19000ドルほどまで下げたとしても全く不思議ではありません。

その底打ちがいつになるのか、今後もYEN蔵さんと志摩さんのメルマガを参考にしていきたいと思います。

そして、この記事も3月中は追って更新していきますので、ご期待ください!
※3月26日:更新
オバマケアの代替法案が可決しなかった件について、YEN蔵さんのメルマガが参考になりましたので、内容をまとめて掲載致します。ヤバい雰囲気が伝わってきます。

オバマケア代替案断念の顛末  配信日:2017/03/26 16:43
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トランプ大統領の下院共和党AHCA(ヘルスケアプラン)は、下院での共和党の賛成を得られず投票にかけることなく断念。トランプ大統領によると10~15票足りなかった模様。

2つの反対勢力のひとつは共和党保守派のフリーダム・コーカサス。オバマケアの全廃を目標とし、共和党のAHCAでは生ぬるいという態度。
もう一方は穏健派の勢力。AHCAになった場合は、無保険者が2026年までに5200万人なりオバマケアの2800万人を大きく超えることに反対票を入れました。

保険改革断念を受けてトランプ大統領は税制改革を目指す姿勢。
税制改革を行うには、まず予算を成立させる必要があり、その意味では大きな予算項目である健康保険が決定したことは予算の決定に一歩進みました。(それはオバマケアによる予算を使うからです)
しかしムニューシン財務長官が述べるように、8月までに税制改革法案を成立させることは可能でしょうか?

今回のトランプ政権は議会説得の能力の無さを露呈してしまい、身内の共和党が支配する議会ですら説得することができなかったわけです。

トランプ政権の目玉は税制改革とインフラ投資の公共投資。その期待感で上昇してきた相場だった為、オバマケアの撤廃の失敗はそれ自体は大きな問題ではないかもしれない。しかし議会保守派のフリーダム・コーカサスは再びオバマケア全廃に意欲を燃やしており、彼らを取り込まないと予算編成が難しく、そうなると税制改革までの道のりは8月など到底無理で、かなり時間がかかる、あるいは失敗する可能性もあるわけです。

金曜日のニューヨーク市場は、予算編成に必要な保険予算の確定(オバマケア継続)、悲観的になりすぎたマーケットのショートカバーだったのではないでしょうか。

もともとマーケットも税制改革、インフラ投資がすぐに決まるとは思っていないでしょう。マーケットがいつまで忍耐強く待てるか。今後これがポイントになりそうです。

現役トレーダーの志摩力男 現在もファンド筋などとの交流は活発で鋭く世界を分析

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(参考:トランプ相場でのYEN蔵さんの爆益トレード!

ABOUTこの記事をかいた人

FX歴2009年~、株歴2015年~。その他、CFD、商品、オプション、仮想通貨まで幅広く取引しています。金融メディア勤務で数多くの個人投資家ネットワークに参加。機関投資家から億トレまで、多くの投資家から得た知識を展開していきます。