4月9日、FRBは最大2.3兆ドル(約250兆円)に上る新たな緊急資金供給策を発表。その柱のひとつとして、信用格付けが投機的水準のジャンク級に下がった社債まで購入することが盛り込まれていました。
S&Pグローバル・レーティングスによると、2019年時点で米国の非金融企業の投資適格級社債の約半分に当たる2兆5000億ドル(約270兆円)が、BBB格付けを付与されていました。シティバンクの試算によると、年内に最大で3000億ドル(約33兆円)相当がジャンク債に転落する恐れがあるといいます。コロナショックにより、企業は資金調達の必要性に迫られており、新規供給が多過ぎれば、ジャンク債市場は買い手がおらずパンクするしかないという状況です。
そのため、ジャンク債の購入は正しくないと分かっていても、第二のリーマンショックを起こすよりはマシとして買い入れに動いたのでしょう。
ただ、この陰にはレバレッジの掛かったハイイールド債もあるということが考えられます。
元々危機的状況にあったハイイールド債
IMF(国際通貨基金)の世界金融安定報告によると、2019年時点において債務返済不能といえる低格付けの発行が米国とユーロ地域で4兆ドルに達したとされています。これはリーマン・ショック時の4倍に達します。
※リーマン・ブラザーズの破綻は66兆円。
そして、2019年に発行された全債券の70%以上がハイイールド債であり、他にもレバレッジドローン、CLO(ローン担保証券)などリスクの高い債券があります。
フィナンシャルタイムズによると、原油価格の下落により苦しんでいるシェール業界は、今後4年間に償還期限を迎えるの社債が約9兆円。そのうち投資不適格級の企業が発行している社債(ジャンク債)は6割以上を占めているとレポート。
債券市場は株式市場よりも大きく6000兆円ほどあるとされています。
【様々な時価総額】
債券市場:6000兆円
ゴールド:900兆円
ダウ平均:800兆円
東証一部:450兆円
レバレッジド・ローン
その中でもリスクが高いとされているのが、レバレッジド・ローン。これは「信用力の低い企業向け」の融資で、とても簡単に借りられるそうです。うーむ、どこかで聞いたことのある話ですね。
レバレッジドローンの借り手は、小さな非上場企業から、アメリカン航空などの上場企業にまで広範囲に渡っています。なぜなら、債務の借り換えや株式の非公開化など、資金調達にとても便利だからだそう。そのため、新規発行が膨らみ続けている状況です。そして、資金の運用に困っている日本の銀行やゆうちょ銀行から農林中金(JAバンク)などが買いまくっているそうです。
IMF(国際通貨基金)のデータによれば、市場の規模は現在アメリカだけで、残高約130兆円規模にもなるといいます。
CLO
CLOとは、Collateralized Loan Obligationの略称で、レバレッジド・ローンの貸出債権を「証券化」して、200本前後をまとめて組成されたローン担保証券のこと。うーむ、たしかサブプライムローンも、色々と詰め込んで証券化した債務担保証券(CDO)ってありましたよね。
さて、このCLOは2014年からはっこうされ、わずか5年で規模がほぼ2倍に拡大しました。EUでも不動産関係などでよく使われているそうです。
まあ、これを見るとお分かりの通り、小規模であれば世の中のお金の流れを良くしますが、ハイリスクの規模が大きくなると大変になるのは目に見えています。
FRBのパウエル議長やブレナード理事、前議長ジャネット・イエレン氏、イングランド銀行のカーニー総裁、FSB(金融安定化委員会)や国際決済銀行BISなどは、「これらの成長ぶりは、リーマンショック前のサブプライムローンを彷彿とさせる」などと、警告を発しています。
既に2019年8月14日に、アメリカとイギリスで10年物と2年物国債の逆イールドが発生したことがレバレッジドローンやCLOの崩壊リスクが現実的になっていました。
そんななかコロナショックが襲来し、「あ、これ終わったな、、」という状況。
FRBは、このままじゃ、第二のリーマン・ショックの到来や!買い支えるしかないで!ということで、ジャンク債の購入に踏み込んだということです。
しかし、実体経済に影響が出るのはこれから。国内でも倒産件数はまだ数十件レベルですが、今後1,2カ月で手持ち資金のない事業者今よりも状況が苦しくなってしまうのは明らかでしょう。
その時に、レバレッジドローンを持っているゆうちょ銀行や地銀は大丈夫でしょうか。
VIXが再び50を超えていく日は、そう遠くないと思います。
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