米国がドルが高いと言えば、下がる!
高いほうがいいと言えば、上がる!
過去・歴史に学ぶ、今回は2話目です。
ドルが高いと言えばさがる、ドル高良い、っと言えば上がる米ドルについて過去の歴史をご紹介したいと思います。
現在のトランプ政権はどちらかと言うと、ドル安を望んでおります。
前回の記事同様に、歴史的な株高に政権移行した1993年のビル・クリントン政権時代を例にあげてみたいと思います。
クリントン政権発足後、米国株式市場は史上最高値を更新し続けるものの、ドル円は下落を続けました。
当時は、米国の製造業を活気づけるため、通貨政策は利上げサイクルに入る1年前でしたが、ドル安政策が進められて、クリントン政権発足後、1ドル123〜124円程度ありましたが、半年後には100円前後にまで落ち込みました。
その後、1995年の阪神淡路大震災があった月までドル円は下落をすることになり、80円割れを実現しました。
しかしその後2年間で45円もの円安を演出しました。
■出所:investing.com
■なぜドル高に急になったのか?
クリントン大統領が就任2年経過した頃、ルービン財務長官がドル高は国益と、ドル高を望む発言をしてからドル円の大きな上昇トレンドが始まりました。
発言後は100円から一気に145円までの円安を演じました。
この発言はITバブルの引き金となりました。
米国に資本を呼び寄せて、偉大な米国を取り戻すための当時の発言です。
Yahoo!やグーグルも90年台後半から出てきた企業です。
シリコンバレーの発展にも大きく貢献し、ニューエコノミー時代の到来でした。
■トランプ政権も同じ道を歩むのか?
歴代の大統領での成功者は、就任後最初の2年間は一度経済体制を整えるために地ならしを始めます。
当然のことと言えば当然なのですが、最初に求めることは通貨安や規制緩和です。
現行の体制を一度破壊して、自分流、その当時の政党流に切り替えます。
トランプ大統領はまだ就任して1ヶ月です。
2016年選挙前当時、トランプ大統領になるかもしれない?っとの懸念から円高が進んでおり、その後、バイザルーモアという形で上昇、歴代の共和党寄りの政策が展開されることが予想される中で、さらにドル高株高が世界的に起こりました。
しかし、このコラムを執筆している2017年2月末では、そのユーフォリア相場から目を覚ましそうな値動きになってきました。
■出所:investing.com
ドルインデックスの月足長期チャートです。
左側、ピンクで囲った箇所が1993年〜1995年前半です。
ドルストレートベースでも売られていたことがわかります。
現在、米国は利上げサイクルに突入をしておりますが、1994年から始まった利上げにも関わらず、ドルが売られておりました。もちろん、当時も利上げ期待で1年前ぐらいからは利上げ期待でドル買いが起こったタイミングは何度もあったでしょう。
しかし、その期待とは裏腹に尽く下がってきました。
やはり、米国がドルが高いと言えば下がるし、ドル高が国益と言えば上がる基軸通貨ならではの権力は健在なのでしょうか?
これから共和党政治が本格的に始動していきますが、まずは製造業を復活させ、盤石な体制を整えてから、強いドルを求めて外国から資本が集めるのかもしれません。
株高は1993年当時と同様に続くかもしれませんが、2017年も同様に、一度ドル安相場が到来してから、大きなドル高相場がやってくるのかもしれません。
先日もゲーリー・コーン国家経済委員長からも国境税の導入に後ろ向きな発言が出てきました。
実際に経済政策について体制を整えている人物からの発言です。
もし国境税の実施が不可能な場合は、保護貿易実現にはかなり後退するでしょう。ならば次に取る一手は通貨安政策だと思われます。
保護貿易の約束を守るには、延命措置として通貨安政策が容易だからです。
やはり米国ならでは特権は健在なのではないでしょうか。
【参考記事】