トルコリラショックで金融危機!?トルコリラの取引で有利なFX会社は?

金融市場の中心にトルコが躍り出てきました。
8/9にトルコリラはついに20円割れへ突入。

トルコは多額の経常赤字を抱えており、短期資金への依存度が高い新興国。高インフレと景気過熱、テロの多さから地政学的リスクに悩まされるなど売られる材料に事欠かない状況にあり、トルコリラは2018年に入ってから30円から15円まで既に50%も下落しています。

この原因のひとつは独裁色が強いエルドアン大統領です。

出展:ロイター

4/16に国民投票のより、トルコの大統領エルドアン氏の権力が集中しました。
そして、中央銀行総裁の指名権を得たり、親戚を要職に就けるという、ワンマン企業の社長あるある的な行動に出て株価もトルコリラもダダ下がりとなっていたわけです。

実はエルドアン大統領、2014年に大統領になるまで12年もは首相を務め、その間に国内のインフラ整備や諸外国との関係改善に尽力し、トルコのGDPを2倍以上に引き上げたという優秀な政治家なのです。

しかし、権力を持ちすぎてだんだんおかしな方向に走っていきます。
わかりやすい例でいえば、2015年に772億円を掛けて建設した1150室もある大統領公邸。

出展:gazetadita.al

東京ドーム4個分の敷地に大理石の柱を並べて贅の限りを尽くしている雰囲気です。ホワイトハウスが霞んで見えますね。

そんなことをしていたので、2016年7月に軍の一部がクーデターを起こしましたが、一夜で失敗に終わったという過去もあったのです。
この際に自らを批判するメディアを一層したことにより、大衆心理を操作できたといっても過言ではありません。大統領を批判するとテロ容疑で逮捕されてしまいますからね。

政権交代が行われない理由の一つとして、エルドアン氏以外に大統領になれそうな人は見当たりません。目ぼしい政敵は、既にみな排除されてしまっているからです。

これまでのタイムライン

8/10(金)トルコリラの下落により、ECBがユーロ圏の金融機関の評価損を懸念。
トランプ米大統領はトルコから輸入する鉄鋼とアルミニウムの関税を2倍に引き上げる方針を表明。

8/13(月)トルコ当局は早朝にスワップ取引の規制を、14時過ぎには「銀行は必要なすべての流動性を供与する。市場原理の中で合理的な水準に回復する。心配はいらない。」などのメッセージを発表。
中央銀行:外貨準備率の上限引き下げを発表。
CDS:5年物国債のCDSが2008年10月以来の水準に高騰。

8/14(火)トルコの経済団体がトルコリラの安定に向けた金融政策とアメリカとの争いの解決を要求。
しかし、エルドアン大統領は米国の電化製品のボイコットすると表明。

一方、これに対してアメリカは「2016年にテロ容疑で拘束されているアメリカ人牧師が解放されない場合は、数日か1週間以内にトルコに追加経済制裁の可能性」があるとコメント。

8/15(水)「トルコが自動車やアルコールなど一部の米国製品に追加の輸入関税を課す方針」と米メディアが報道。
トルコに拘束されたアメリカ人牧師の解放をトランプ政権は要求していますが、トルコのエルドアン大統領はこれを拒否し続けています。
午前中:米当局者が牧師拘束問題でトルコに警告。
午後にはトルコ中銀が銀行のスワップ取引を法的株主資本の25%に制限。(従来は50%)

トルコリラが跳ね上がるとしたら、緊急利上げや牧師解放のヘッドラインニュースが可能性としてありますが、米国側のコメントから、これが1週間以内の8/21(火)までに絞られたことになります。

トルコの債務データ

トルコへの直接投資は総額で1400億ドル(約15.5兆円)。
その内訳は75%がヨーロッパ。対トルコの債券保有国は、スペイン809億ドル(約8.8兆円)やフランス351億ドル(3.8兆円)、イタリア(不明)の順。
日本のトルコへの証券投資は6000億円、銀行の債券は110億ドル(約1兆円)ですが、銀行や小規模な証券会社が個人投資家に利回り15%とかのトルコ国債を大量に販売してそうです。

トルコの短期債務に対する外貨準備の比率は70%台。
※通常の最低限度は100%。
このままでは、市場から新たに2000億ドル程度の借り換えをしなければデフォルト不安となってしまいます。

トルコのGDPは2017年で世界17位でした。
しかし、トルコリラの価格が半分になったことから、単純に26位~28位に転落。タイヤオーストリアと並ぶことになったと考えられます。

ちなみに、トルコの株価も30%ほど暴落しており、日本の個人投資家が売買できるGMOクリック証券のトルコ株式指数ETFでは31から19まで下がっていました。

◇トルコ株式指数ETF
出所:GMOクリック証券

GMOクリック証券CFD

今後の展望

トルコの外貨準備高が不足していることから、トルコリラを介入して買い支えるということはないでしょう。

また、エルドアン大統領は「金利の罠には落ちない」と通貨リラの防衛を目的とした利上げに否定的な考えを示しています。さらにトランプ政権に対してNATO脱退やロシアや中国への接近を示唆するなど強硬姿勢を出してきています。

最悪の場合、資本流出を防ぐためにキプロスが行った預金封鎖が実行される可能性があるかもしれません。そうなった時はビットコインが高騰しそうですね。

また、トルコ危機が起きるとすればオリジナルの負債は最大20兆円程度ですが、米国の利上げが遠のく可能性があります。現時点ですのアメリカの9月の利上げ確率は91.2%

既にアルゼンチンやインドネシアは自国通貨の保護のために利上げを行っておりあすので、南アフリカもこれに続く可能性があります。

外為どっとコムのトルコ円の未決済のポジションを見ると、日々売りポジションが増加してきています。

出所:外為どっとコム

志摩さんのメルマガを一部要約して見てみましょう。

米トルコ、未だ妥協点は見えず
今朝配信した「米当局者、トルコに警告」とのヘッドラインの内容ですが、ボルトン米大統領補佐官とトルコのキリク駐米大使が会談したようで、これはトルコ側が求めたようです。米国側は牧師の解放がなければ交渉に応じられない、米国側はトルコ国営ハルク銀行にイランに対する制裁逃れに加担したとして、罰金を課すことも検討している模様。

トルコ側は牧師解放に動きません。日本人的視点から見ると、なぜ早く妥協しないのか不思議かもしれません。米国が国際金融を仕切っている以上、逆らい続けるとトルコが大変な苦境に陥ることは目に見えているからです。トルコからすれば、トランプ政権側も中間選挙に向けて牧師解放の「戦果」が欲しいだけだというのがミエミエなので意地でも開放せず、トランプ大統領の顔を潰す戦略かもしれませんが。。。

トルコの銀行と企業は大変な状況に追い込まれます。トルコリラは自由に取引できる通貨です。リラはふんだんに供給されます。外貨の支払いは、手元のリラを外貨に替えれば支払えます。かつてドイツが第一次世界大戦後の賠償金を支払うため、輪転機でマルクを刷り、それをフランやポンドに替えて支払いましたが大変なインフレになりました。そこまではいかないですが、とにかく米国との妥協がないということは、こうしたプロセスの連続になる可能性があるので、短期的にトルコリラを拾ってもいいですが、時間の経過とともに更に下落する可能性は残ります。

マーケットは、トルコの問題を過大評価しすぎたという反応です。短期的にはそれでいいのでしょう。しかし、今回のトルコ危機が思わぬところから出てきたように、今後も危機は思わぬところから出てきます。トルコリラの動きで損失が出てます。その損失は何かを売ったりして埋め合わせないといけません。関係ないように見えますが、昨日のイーサリアムの暴落は、トルコが関係しているかもしれません。

しばらくは、米国とトルコ関係のニュースに注意しつつ、次のContagion(伝播)が何処から来るのか見ていきたいところです。トルコ関係で劇的なニュースが出てこなければ、ユーロ円の127円近辺は再度売り直したいところです。

かなり不安なところではありますが、目先はトルコ中銀の金融政策や米国の高決算に反応したことなどから、ある程度の戻りがありそうですね。


志摩力男の実戦リアルトレード

トルコリラを取引できるFX会社

さて、国内でトルコリラを取引できるFX会社はをスプレッドを見てみましょう。

FX会社 平時 スワップポイント
ヒロセ通商 1.9銭 90円
みんなのFX 1.9銭 100円
外為どっとコム 1.9銭 76円
SBIFXトレード 1.79銭 91円
GMOクリック証券 1.9銭 100円

パッと見る限り、SBIFXトレードが一番ですね。
ただし、これは原則固定の場合です。実際に8/10~8/14では、どこのFX会社でもスプレッドは1.9銭以上でした。
その時に、一番スプレッドが狭かった会社は「ヒロセ通商」でした。ヒロセ通商は4~6銭程度でしたが、他は7.5銭程度ありました。

時間帯によってはSBIFXトレードの方が良かったのですが、1万通貨以下でないと1.79銭のスプレッドではありませんので、個人的にはヒロセ通商でのトレードが良いと思います。

スワップポイントを狙ったり、トルコショックが回復した際にメキシコペソの急反発も期待できるのであれば、みんなのFXがベストでしょう。

トルコリラの取引でおすすめのFX会社:みんなのFX

みんなのFXのトルコリラページ

みんなのFX(トレイダーズ証券)はトルコリラ円を取引する最大の理由であるスワップポイントとスプレッド面で一番有利です。 スプレッド・必要証拠金も高水準でトルコリラで長期運用するならベストなFX会社と言えます。

ちなみにメキシコペソや南アフリカランドのスワップポイントでも当サイト掲載のFX会社の中でトップクラス。高金利通貨のスワップポイント運用なら みんなのFXはまず押さえておきましょう!

ABOUTこの記事をかいた人

FX歴2009年~、株歴2015年~。その他、CFD、商品、オプション、仮想通貨まで幅広く取引しています。金融メディア勤務で数多くの個人投資家ネットワークに参加。機関投資家から億トレまで、多くの投資家から得た知識を展開していきます。